なぜそうなるか

婚約指輪のダイヤモンドは、国がロシア産を止めている?——経済産業省の指針は、0.5カラット以上の原石・研磨済みダイヤモンドの輸入が対象で、宝飾品は含まれないと答えていました

婚約指輪を選ぶ場面では、デザインや石の大きさに目が向きがちです。

一方で、その石がどこで採れたのかを気にかける方も、少しずつ増えているようです。産地の話題は、店頭の説明でもときどき耳にします。

とくにロシア産のダイヤモンドについては、各国が輸入を制限していると報じられてきました。では、日本ではどんな決まりがあり、それは指輪を買う側にどう関わるのでしょうか。

経済産業省には、ダイヤモンドの輸入に関する「指針」のページがあります。ページの下には、指針の本文と、問いと答えの形の資料(Q&A)が置かれています。

そこで、このページと、2024年9月に更新されたQ&Aを開き、指輪を選ぶ側から見て知っておきたい部分を並べました。

以下は原文の引用を中心にした整理です。手元の指輪やこれから選ぶ石がどう当てはまるかは、この記事では判断しません。

この記事でわかること
・指針は、ダイヤモンドを輸入する事業者に、ロシア産を排除する自己宣誓を求めている
・対象は1個(粒)0.5カラット以上の原石と研磨済みダイヤモンドで、2024年10月2日に1カラットから引き下げられた
・Q&Aは、宝飾品は対象に含まれないと答えている
・国内の仕入れや取引には適用されない
・法的拘束力はなく、罰則もない

この指針は、何を求めているの?

国がロシア産のダイヤモンドを禁止した、ということ?

経済産業省のページは、輸入する事業者に「自己宣誓」を求めるものだと説明しています。

指針が何のためのものかは、ページの冒頭にあります。

ロシア産ダイヤモンドの輸入の段階的な制限の一環として、国内のダイヤモンド輸入事業者に対し、第三国で加工されたロシア産ダイヤモンドの輸入の排除及び適切な取引を実施する旨の自己宣誓を求め、そのために取り組むべき内容の手引きを提示するものです。

求めている相手は、ダイヤモンドを輸入する事業者です。ロシアで採れて別の国で加工された石も、排除の対象として書かれています。

なぜ宣誓という形をとるのか。Q&Aの答えは次のとおりです。

現在のダイヤモンドの取引に係る商慣行、輸入手続きにおいて、ダイヤモンド(原石・研磨済み)がロシア原産ではないことの証明が難しいため、輸入事業者による自己宣誓を行って適切な取引に取り組んで頂くこととしました。

ロシア原産でないことの証明が難しいという事情が、宣誓の形をとる理由として挙げられています。

どんなダイヤモンドが対象なの?

小さな石も、指輪に留められた石も、全部が対象?

対象は、1個(粒)0.5カラット以上の原石と研磨済みダイヤモンドです。

線の位置は、2024年に変わりました。ページの更新のお知らせには、次のようにあります。

令和6年10月1日までは対象となるダイヤモンドの品目が1カラット以上でしたが、令和6年10月2日以後は0.5カラット以上に変更となります。

指輪の形になったものについては、Q&Aに問いがそのまま立てられていました。宝飾品は含まれないのか、という問いへの答えです。

宝飾品は含まれません。上記 HS コードに該当するダイヤモンド原石及び研磨済みダイヤモンドが対象です。

指針が見ているのは、石として輸入される段階です。指輪に留めた状態で輸入されるものは、この答えの範囲では対象の外に置かれています。

国の外から入るときの話である点は、別の問いへの答えで分かります。

国内仕入れ・国内取引には適用されません。対象となるダイヤモンドを海外から輸入する場合を対象としております。

輸入元の国については、ロシア以外から輸入する場合も対象かという問いに、次の答えがあります。

全ての国・地域から輸入するダイヤモンドが対象となります

刻印や純度の保証については、婚約指輪の内側の「Pt900」「K18」は、造幣局の証明ではありませんでしたで、造幣局のページを原文から並べました。

守らなかった事業者に、罰則はあるの?

宣誓していない業者の石は、売ってはいけないの?

ページとQ&Aによれば、法的拘束力も罰則もありません。

指針の性格は、ページの冒頭の一文に表れていました。

法的拘束力はありませんが、将来的に導入しうる法規制を見据え、事業者が尊重し、自主的に遵守することが期待されます。

Q&Aの最後の問いも、同じ向きの答えです。

本指針は、ダイヤモンド(原石・研磨済み)の輸入に際して事業者が取り組むべき内容を定めたものであり、罰則等はありません。

指針は、事業者の自主的な取り組みを求める形をとっています。いつまで続くかについては、Q&Aに次の答えがありました。

現時点で、指針の期限は定められておりません。

この記事で確認したこと

ダイヤモンドの輸入に関する経済産業省の指針
・輸入する事業者に、ロシア産(第三国で加工されたものを含む)を排除する自己宣誓を求めている
・対象は1個(粒)0.5カラット以上の原石と研磨済みダイヤモンド(2024年10月2日から)
・宝飾品は対象に含まれない
・国内の仕入れ・取引には適用されない
・法的拘束力はなく、罰則もない

指針が決めているのは輸入する事業者の取り組みで、店頭で売られる指輪一つひとつの産地を国が保証する仕組みではありません。

よくある質問

店で買う婚約指輪の石が、ロシア産でないと分かりますか

今回読んだページとQ&Aには、小売店や購入者向けの表示の決まりは書かれていません。産地が気になる場合は、購入先に尋ねることになります。

0.5カラットより小さい石は、どう扱われていますか

ページとQ&Aが対象として挙げているのは、1個(粒)当たり0.5カラット以上のものです。2024年10月1日までは、この線は1カラットでした。

指針の内容は、これから変わることがありますか

Q&Aは、今後のG7での議論や制度の見直しなどで、変更や終了がありうると答えています。

この整理が変わる条件


出典

産地の扱いは、経済産業省の最新のページと、購入先の説明の両方で見ておくと食い違いに気づけます。

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